2017/10
≪09  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31   11≫
FC2カウンター
蝶が舞うリースの時計
最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
お気に入り

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


 
お正月お題小説「羽根つき」アップしました
皆様からお題をいただいたお正月小説をようやく書き上げました。

いただいたお題は次のとおりです。ありがとうございます。

茶林さん Fカップの美女
sleepdogさん 後継者
楠沢さん スタ丼
招夏さん 姫リンゴ飴
渋江さん 家出した座敷童
香月さん 羽つきでホラー話
りいさん 拍子木

ホラーっぽいのは途中までなのが申し訳ないですが、どうにかまとまりました。続きからどうぞ^^

「羽根つき」


「ねえ、この井戸の蓋、割れちゃってるじゃない。危ないわねえ」
 姉貴の声が実家の庭から聞こえてきた。
「ああ、それ、さっき俺が博之とキャッチボールしてた時にボールぶつけちまってさあ」
 博之というのは姉貴の小学生の息子だ。
「それにお札も剥がれちゃってるし。後で直しておきなさいよ!」
「え~、何で俺が」
「当たり前でしょ。壊したものを直すのは」
 それはそうかもしれないが元旦から大工仕事なんてしたくない。俺は井戸の蓋をそのまま放っておいた。

 翌日、両親と姉貴の一家は揃ってスタ丼という、バラ肉山盛りのカロリーの高そうな食物を食べに行くといって朝から出かけてしまった。豚肉が苦手な俺が留守番をすることになり、昼間からこっそりと持ってきていたFカップ美女のエロDVDを観ようとレコーダーのスイッチを入れた。ところが、何分経っても画面は真っ暗で何も映らない。しまった。このDVDは不良品なのか、と舌打ちをしてリモコンに手を伸ばす。
 だが、俺が握ったものはリモコンじゃなかった。
「なんだこりゃ?」
 それはどうみても拍子木だった。その証拠にテーブルの上に置かれたこの木製の棒はもう一本同じものがあり、縄状の紐で互いが繋がれている。
 何でこんなものが置いてあるんだろう。それよりリモコンは何処にあるんだろう?
 その時、突然、画面が明るくなった。黒いブラジャーの金髪のFカップ美女が妖艶な笑みを浮かべながら無言で俺を見ている。
 よかった。どうやら壊れてはいなかったようだ。身体をくねらせる美女を眺めながら何気なく掴んだ拍子木を弄ぶ。
 暗い部屋の中で浮かび上がる画面。その巨大な胸に……待てよ? 何でこんなに暗いんだ?
 いつの間にか部屋の中は真っ暗になっていた。雨が降る前の暗さではない。かといって夜の暗さでもない。

 拍子木を放りだして慌てて立ち上がり、窓のほうを見る。だが、一寸先も見えない。ここにあるのはねっとりと粘りついてくるような真の闇だ。テレビがついているのになぜ光がないのだろう。振り返ってみると、いつの間にかテレビの画面は角砂糖みたいに小さくなっていた。いや、部屋の奥へ奥へとどんどん遠ざかっていっているのだ。
 この屋敷は奥が広い。この部屋だけでも襖を隔てて奥に二つの和室がある。だがいくら何でもこんなに広くはない。俺の周りは冷え冷えとした底知れぬ闇の空間と化している。これは夢なのだろうかと頬を抓ってみる。痛いだけで目は覚めない。とにかく外へ出ようと手探りでゆっくりと窓のほうへ向かう。指先にガラスが触れて少しほっとする。震える手で窓を開け、縁側と思われるところに出る。
 外も塗りつぶされたように真っ暗だった。とにかく庭に下りてみると、闇の中で何かが青く光った。あの井戸だ。きっと何かが出てくるに違いない。そう思っても目を離すことが出来ない。激しく鼓動する自分の心臓の音だけが耳に響いている。
 
 ――ねえ、羽根つきしよう
 
 突然囁かれた声に振り返るとそこに立っていたのは両手に羽子板を持った小さな女の子だった。おかっぱ頭は髪が乱れ、びしょびしょに濡れている。白っぽい着物が闇の中で浮かび上がって見える。
 
 ――ねえ、羽根つきしよう

 女の子の声は楽しそうだが、顔はまったく笑っていなかった。
「いや、俺、今、忙しいから」

 ――ねえ、羽根つきしよう

 こいつ、俺の話を聞く気はまったくないらしい。それどころか、右手に持った羽子板を俺のほうにまっすぐに突きつけてくる。

 ――ねえ
 
 刹那、右手に何かを持たされたような違和感を感じ、左手で触れてみる。これはたぶん羽子板だ。俺はその時、子供の頃に親に聞かされた話を唐突に思い出した。

 
 古今東西、封印された井戸にはそれなりの恐ろしい理由がある。この屋敷の井戸も例外ではない。江戸時代の中期、一人で羽根つきをしていた生きていれば先祖の一人であったところの娘が誤って井戸に落ち、死んでしまったらしい。その後、身内に続けざまに死人が出た。死んだ者は何故かみんな羽子板を握っていた。その為、この井戸はお祓いをして蓋をし、お札を貼って封印してしまったとのことだ。
 と、いうことは俺はこの娘に殺されるのか? そう思った瞬間、身体が小刻みに震えだす。 

 ――羽根つきしよう

 びゅん、と耳元を何かが掠め、激痛が走った。手を当ててみると生暖かい液体が流れ出ている。羽根つきが勝手に始まったらしい。

 ――お手つき

 頬を撫でられる感触。何かが塗られたようだ。
「いやだ! 俺は羽根つきなんかしない!」
 右手を振り回して羽子板を落とそうとしたが、まるで強力な接着剤で貼り付けられたように離れない。
 俺はとにかく女の子から離れようと、闇雲に走り出した。振り返ると羽子板娘はまったく無表情のまま後を追ってくる。その時、何かに躓いて俺は激しく転んでしまった。

 ――羽根つきしよう

 次の一撃は銃弾のように俺の太股にめり込んだ。耐え難い痛みに叫び声をあげても全て闇の中に吸収されてしまう。このまま、穴だらけになって死ぬのか。そう思った時だ。

「よかった。ちょうどいい子を見つけたわ」
 幼い声に顔を上げると、そこには真っ赤なミニの着物を着たおかっぱ頭のちょっと可愛い女の子が拍子木を構えて立っていた。
「あ、あんた誰だ」
「あたしは座敷童よ。住んでた家の人達があんまり態度が悪いから家出してきたの。で、偶然ここを通りかかったら、こんなことになってるじゃない。あんた、幽霊を怒らせたら駄目よ。ほら、そこどいて!」
 そう言ったと同時に座敷童は俺の横っ腹を蹴飛ばした。俺はごろりと二、三回転がって仰向けになった。
 闇の中に浮かび上がった座敷童は拍子木をヌンチャクみたいに器用に振り回して、羽子板娘に素早く飛びかかっていった。羽子板は微塵に砕け散り、あっという間に勝負がついた。闇は跡形もなく消え去った。
 がっくりと肩を落とした羽子板娘に座敷童は懐から取り出した姫リンゴ飴を差し出す。
「あんた、そんな井戸の中にいたってつまんないでしょ? あたしと一緒に来て後継者になってよ。あたしはもうそろそろ座敷童は卒業して福の神昇進試験を受けたいのよ」
 羽子板娘は笑顔を浮かべてこっくりと頷き、姫リンゴ飴を受け取った。何がなにやら判らないまま、俺は寒風の吹き荒ぶ庭に仰向けに倒れて、手をつないで去っていく二人の女の子を見つめていた。

 その後、顔に血を塗りたくられ、羽子板を持った俺は庭で気絶しているところを帰ってきた姉貴達に発見され、入院することになった。井戸は再び封印され、俺が入れたままだったFカップ美女のDVDはその後、再び観ることもないまま姉貴に没収されたのだった。

スポンサーサイト


 
Secret
(非公開コメント受付中)

リンク
ブログ内検索
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。