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晩餐~二口女
このたび、12月5日に開催された文学フリマの「夜道会」妖怪同人誌、「へんぐえ~せるりあん~」に参加させていただきました。お題は「二口女」です。
字数をかなり削ったため、多少意味不明なところがあるのを、本誌を見てようやく気が付きました。
その為、当初投稿させていただいたものをこちらに掲載いたします。
本誌のほうは高橋史絵さんに挿絵を描いていただきました。とってもシュールな感じで気に入ってます♪
「へんぐえ~せるりあん~」はこちらで通信販売されています。ぜひお買い求めください。

http://store.retro-biz.com/item_detail_4225.html#i4225

小説は続きからどうぞ。
「晩餐」

「夏奈せんせー、いつものやって」
「いいわよ、冬美ちゃん」
 今日は冬美のお別れ会だ。彼女は四歳。母親と二人で引っ越して再出発をするそうだ。
 私は園児達がよく知っているアニメの歌をコーラスで歌い始めた。ソプラノとアルトの一人ハーモニーは私の得意技だ。わあっと園児達の歓声が上がる。

 冬美は以前から、時おり顔に青い痣を作って登園してきた。訳を聞いてみると家で転んだのだと言う。彼女はあまり友達と遊ばず、笑顔を見せることさえほとんどなかった。いつも迎えに来る母親は青ざめた生気のない顔をしていた。

 二か月前、園長に頼まれて冬美の家に寄ったのは午後八時ごろだった。その日、彼女は何の連絡もなく園を休んでいた。
 アパートの部屋のドアの前に立った途端、中から男の怒鳴り声が聞こえてきた。そして何かが壁にぶつかったような大きな音。急いでチャイムを鳴らすと、ドアを開けたのは酒臭く、目付きの悪い中年男だった。家の奥からは冬美の大きな泣き声と、母親のか細い啜り泣きが聞こえてくる。
「なんだ、あんた」
 私はにっこりと笑って言葉を返す。
「めぐみ幼稚園の森野です。冬美ちゃん、今日園を休んだので、どうしたのかなあと思いまして」
 男は私の身体を舐めまわす様に眺めてから、にやりと笑って答えた。
「ああ、いや、ちょっと風邪で熱があってね」
「そうですか。それじゃ、お大事に」
 帰り際、私は男にメモを書いて手渡した。

 翌日、私の携帯に男からメールが来た。会って話がしたいという。私は深夜の公園で待っていると返信した。

 人気のない公園のベンチで男を待つ。夕食は抜いてきた。準備は万端だ。
「待たせたな、先生」
 男は私を見つけると、ニヤニヤと笑いながら近づいてきた。
「初対面の男をこんな所に誘うなんて、あんた相当な淫乱女だな」
「欲しいものは我慢しないだけよ」
 男は何の警戒心も抱かず、私の横に座ると肩に手を回し、乱暴に唇を押しつけてきた。吐き気のするような口臭に、思わず両手で男の身体を突き放す。
「ねえ、ちょっと待ってよ!」
 私は顔を背け、反対側に置いてあるバッグに手を伸ばしながら、長い髪をうねうねと動かし、頭の後ろにあるもう一つの口を大きく開いてみせた。
 悲鳴を上げかけた男の顔に瞬時に髪を巻きつけて口を塞ぐ。振り返って見ると、その醜い顔は恐怖で歪んでいた。解こうともがく男の首を髪のロープできつくきつく締めあげる。
『ねえ、もっとキスして!』
 首の骨の砕ける鈍い音。男は白目を剥き、だらりと舌を出したまま動かなくなった。
『食べていい?』
「ええ、でも何一つ残しちゃ駄目よ」
 後ろの口がゆっくりと男を飲みこんでいる間、私はバッグから取り出したティッシュで丁寧に唇を拭いた。

「夏奈せんせー、お世話になりました」
 お別れ会が終わり園を出ていく時、母親の手をしっかり握った冬美は、輝くような笑顔で手を振ってくれた。



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(非公開コメント受付中)

残念!
ごぶさたしております。
先日のチャットは欠席で失礼しました。

文学フリマ、お知らせいただければ。
ちょっと仕事に振り回されていると、みなさん、どんどん新しいことをされていて。
見習って、頑張らないと。

来年、電ミスで「一人の作家さんについて語り合う」という企画をやりたいのです。
いろいろと相談を持ちかけるかもしれません。
お時間あれば、アドバイスなどお願いしたく思います。


「晩餐」の方読ませて頂きました
 お邪魔致します、渋江照彦です。

 「硯の魂」の方、読んで頂き有難う御座います。楽しんで頂けましたら何よりです。

 「晩餐」の方、読ませて頂きました。二口女が悪い男を食べてしまうという所は非常に好きでしたし、妖怪が人間社会に上手く溶け込んでいて、非常に面白かったです。最後が決してマイナスでは無くてプラスの結末となっていた所も良かったです。有難う御座いました。

 また、鵜林さんの作品も発売されましたら読ませて頂きますので、お願い致します。

 それでは、失礼致します。


江沢さん、お久しぶりです
レスが大変遅くなってしまい、申し訳ございません。今月のチャットはチャットルームのサーバーの不具合で入ることが出来ず、開けませんでした。
文学フリマの同人誌には初めての投稿でした。本当は行きたかったんですけれど、なかなか思うようにはいかないものです。

電ミス企画、面白そうですね! ぜひまた詳しいお話、聞かせてくださいね^^




渋江さん、ありがとうございます!
レスが大変遅くなってしまい、申し訳ございません。

「晩餐」、お読みいただきありがとうございました。肝心の「へんぐえ」に載ったほうが中途半端な感じで心残りです。次回参加の際はきちんと枚数に納まった話を書こうと思っております。
もっと「文学的」な話を書きたいとは思うんですが、うまくはいかないものですね。

鵜林さんの長編、私も楽しみにしています! ロジックなお話に拘りのある方なので、きっと期待通りの作品が読めることと思っております。



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