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【斉木楠雄のΨ難】SS 「十月、真夜中の公園で」
PIXIVにアップした「斉木楠雄のΨ難」二次創作をアップします。
登場人物は斉木楠雄と海藤瞬、あとはオリジナルキャラです。

初めて二次創作というものを書きました。オリジナル以上に人物の動かし方が難しいですが、いろいろ勉強になりました。内容は結構、中二病全開だったりします。


続きからどうぞ。
 


 僕の名は斉木楠雄。超能力者だ。

 その日は朝から抜けるような青空が広がっていた。
 放課後、珍しく燃堂は家の用事とかで早く帰り、海藤も、鳥束も何かしら用事があって一人で帰ることになった。
 まっすぐ家に帰らず、少し遠くにある本屋まで行ってみようと思ったのはほんの気まぐれだった。
 たぶん、秋の気配を含んだ風が気持ちよかったせいだろう。
 金曜日の午後の繁華街は賑やかだ。でも僕はあまりこの状況を楽しむことが出来ない。
 街を行きかう人々の喧騒と共に心の声も聞こえてきて、いつも以上に頭の中がお祭り騒ぎ状態になるからだ。
 裏通りを通ればよかったと思ったが、今更遠回りする気も起きない。

 赤ん坊のうちから自意識を持っていた僕は、人間というものが建前と本音を持っていることに早くから気付いていた。だからこの世の中に絶望を覚えたのも幼児の頃だ。
 かつて、とある国の諜報機関に拉致されて某国に連れて行かれ、苦痛を伴う実験をされそうになった。機関を国ごと消し去って以来、人と関わることも避けている。それでも、何故か僕にまとわり付いてくる奴が増えてきたのはつい最近のこと。近頃はそれもまた悪くないなと少し思い始めている。

 ただ、自分が超能力者であることだけは公にはされたくない。それはきっと、またかつての組織のような面倒くさい連中を招き寄せることになるし、そうなればきっと大切な両親にまで危害が及んでくる。二人とも頭がお花畑なのかと思うほど天然で、でもそのおかげで僕も自分自身に絶望することもなく今まで生きてこれたのだから、口には出さないが心から感謝している。

 仲のいい(心の声が聞こえるので仲がいいかどうかは判る)カップルが通り過ぎる。僕はこの先、恋をすることがあるだろうか。心の中まで美しい人に出合うことが出来るだろうか。それに僕の目は生まれつき面倒な透視能力を持っていて、人の姿はまともに見えない。三秒で裸になってしまい、五秒後には動く人体模型よろしく筋肉や内臓がむき出しになる。例え恋人が出来ても、その顔が普通に見えるのはほんの数秒。瞬きでリセットできるとはいえ、相手だって自分の顔を見つめず、瞬きを繰り返す相手なんて嫌だろう。だから、恋すること自体に興味が持てない、いや、持たないんだ。


――ほとんど人間と変わらない外見を持つロボットが開発され、本日、一般に公開されました。

 
 ビルの上のディスプレイから聞こえてきたニュースに思わず足を止めた。
 そこに映っていたのは、女の子の外見を持つロボットとその開発者。
 あの顔に見覚えがある。
 突然、心の奥がずきりと疼いた。
 消し去ったはずの記憶が突然蘇った。

 

 それは僕が中学二年の時の話。


僕の毎日はいつもほとんど同じだった。学校へ行き、一日を過ごし、帰ってくる。部活にも入っていなかったし、友達もいなかったから気楽なものだった。


 十月の初めのある日、僕はちょっとしたイジメを受けた。中間テストを控えているとストレスが溜まるから、それを発散する為にイジメを始める奴がたまにいる。
 教室に入った瞬間に判った。
『来た来た。斉木のやつ、どんな顔をするかな』
 よく判らないのだが、僕の顔が変わるのを見て何が楽しいんだろうか。そいつはクラスでは優等生で通っている男子生徒。名前は田中とでもしておこう。
 机の中を調べてみると、置いてあった教科書にボールペンで落書きがされている。それもバカとかアホとか、小学生並みの。こいつ、漢字が書けないのだろうか。
 溜息をつく僕がショックを受けたのだと思い、にやにやしている田中の顔が心底うざい。
 教科書の時間を一日前に戻してしまえば、一瞬で綺麗にはなるがこの能力には弊害がある。
 先生が教室に入ってきて授業が始まったとしよう。各生徒が宿題のノートを提出する。だが、じきに大騒ぎになる。物体の時間を戻すと教室の範囲くらいの全ての物体の時間が戻るので、あのノートに書かれた宿題は全て消え失せてしまう。
 それが僕の仕業だなんて誰も思わないだろうけど、出来れば避けたい。僕は休み時間に教科書を持って屋上に行き、教科書を修復した。それから田中の弁当は強烈な塩味に変えておいた。当然だ。


 その晩、夜中に目が覚めた。カーテンを閉め忘れたまま眠ってしまったせいだろうか。窓の外から差し込んでいるのは月の光だ。
 窓を開け、しんと静まり返った外の景色を眺める。遠くで犬が吠えている。空に浮かぶ月があまりにも綺麗だったし、外の風にも当たりたかった。
 そうだ、公園に行ってみよう。誰もいない夜中のベンチで、しばらくこの月を眺めていたい。窓を閉め、僕はパジャマのまま、公園へテレポートした。


 公園に着き、ベンチに座る。幸いなことに他に人の気配はない。何も考えずに空を眺め、十分ぐらいはそうしていただろうか。
「ここ、座ってもいいですか」
 突然、隣から聞こえてきた声に驚いて目を向けると、青いワンピースを着た同い年くらいの女の子がにこにこ笑っていた。大きな瞳に長くてふわふわした茶色い髪。ふっくらとした桜色の唇。こんな美少女が夜中に何をしてるのだろう。
 僕は頷くと少し脇に寄り、横に座った彼女の顔をさりげなく眺めていた。五秒、十秒。不思議なことに彼女の顔は変化しなかった。どうしてだ? ひょっとして僕はあの厄介な能力から解放されたのか。だが、なんとなく違和感を感じる。彼女の心の声が聞こえない。
「ありがとう」
 彼女は本を取り出して膝に置き、読み始めた。街灯があるとはいえ、こんな暗い場所で本が読めるのか。もしかしたら。僕は彼女の横顔を凝視し、神経を集中して透視する。その結果、見えたのは人体模型ではなく、複雑に入り組んだ部品や配線。


 彼女はロボットだった。そうか、それで全てのことに納得がいく。でも、こんなに精巧な人型のロボットが日本で作られているなんて。それにどうしてこんな夜中に公園に来ているのか。聞きたいことは山ほどあったけれど、本を読む邪魔をするのも良くないだろう。
「あの、これはどういう意味ですか?」
 彼女が読んでいたのは小説だった。微妙な言い回しの意味はロボットには難しいかもしれない。僕が教えてあげると、彼女は本当に嬉しそうな顔をした。僕は月を眺め、時々彼女を眺め、そんなふうにいつの間にか時は過ぎていった。
「あの、あなたの名前を教えてくれますか? 私の名前はルナです」
 本を閉じながら、ルナが呟いた。
「斉木くん、ですね。今日はありがとう。とても勉強になりました。あの……明日も教えてもらえませんか」
 僕は躊躇うことなく頷いていた。
どうしてだろう。何事にも関わりを持ちたくない自分らしくもないな、と今は思う。
 それはたぶん彼女が機械で、心の声も聞こえず、姿も変わらない初めての存在だったからかもしれない。
 
 翌日から、僕は夜中になると公園にテレポートしてルナと会っていた。もちろん、着替えて、だ。行ってみると彼女はいつも本を広げていて……。



「斉木じゃないか。こんなところで何してるんだ」
 はっとして振り返る。思い出を手繰っていた為にぼうっとしていたようだ。最近少し緊張感が薄れてきたような気がするな。
 そこには海藤が息を切らしながら立っていた。どうやら走ってきたようだ。
「俺か? 俺はこのへんに出没するダークリユニオンの刺客の気配を探りに来たんだ!」
『ええっと、頼まれたのはニンジンと豚肉と甘口のカレールーだよな。あと何かあったっけ』
 お前が持ってるのはスーパーの袋だし、単にお母さんに頼まれて夕食の材料の買い物をしてきたってバレバレだけどな。
「こ、これか? これは奴らの弱点のニンジンをだな。というか、斉木は何を見てるんだ」
 
――画期的な家政婦ロボットとして、いずれは各家庭に一台を目指して研究開発――

 ディスプレイのアナウンサーが淡々と喋り続けている。

「ああ、あのニュース、俺も見たぜ。凄いよな、あれ。ほとんど人間と変わらないじゃないか」
 そうだ。人間と変わらない、少なくとも外見は。
 でも、あれはルナとは違う。
「どうしたんだ。何かあったのか?」
 いや。何でもない。心配そうな顔で見ている海藤をその場に残して僕は歩き出した。
「あ、本屋なのか。じゃ俺も行くよ。見たい本あるし」
 勝手にしろ。でも肉が腐るぞ。
「大丈夫。保冷剤入れてるし」
 お前、なんだか主婦みたいだな。

 

 公園に行ってみると、彼女はいつもベンチに座り本を読んでいた。僕は隣に座って、質問されれば答える。そんな日が数日続いた頃、ルナは自分のことを話し始めた。
「私、ある家電メーカーの研究所で作られたロボットなんです。私はまだ試作段階で今は観察期間中。これは極秘の開発なので本当は外に出たらいけないんですけれど、本を読むことが許されてなくて」
 いわゆるアンドロイドというやつか。余計な知識は試作段階では必要ないということなのだろうか。
「だから本もこっそり持ち出してきてるんです。でも研究所の人たちはみんな優しくて、私にいろいろなことを教えてくれます。家政婦や秘書として働く為の知識とか、そういう実用的なことを」
 ああ、それは必要だろうな。
「斉木くん、感情って何ですか?」
 なんだろう、と改めて聞かれると答えるのはなかなか難しい。喜び、悲しみ、怒り、たぶんそれが人間らしさ、というものなのだろう。まあ、僕自身は人間を自分とは別種の生き物だと思っているけれど。
「ロボットは感情を持ってはいけないと言われました。でも、どうやら私は感情というものがあるみたいで、月を美しいと思うし、知識が増えることは嬉しいし、何かを禁止されることは悲しい。だからそれをずっと隠し続けているんです」

 それはロボットにとっては辛いことかもしれないな。生まれながらに持っているものを隠して生きなければならないなんて。
 彼女は少し、僕に似ている。

「斉木くんに話したら少し気持ちが楽になりました」
 僕はカウンセラー代わりか。まあ、それもたまにはいい。

 ほぼ毎日、僕は公園に通い続けた。時には自分が持っている本を持って。そんな時、ルナは本当に嬉しそうな顔をした。
 恋? いや、違うな。親に黙ってこっそり飼ってる猫に餌をやりにいくような、そんな感覚だった。

 日を追うごとに、知識が増えるごとに、彼女のぎこちなかった笑みは自然になり、ますます人間に近付いていった。僕と出会って得た知識は彼女の記憶チップに残るが、見つからないように鍵をかけているのだと言う。
 だが、それは次第に僕の不安を増大させていった。
 本当にこのままでいいのだろうか。そして、その不安は的中した。


十月三十日。
 いつも通りの退屈な授業。窓の外を大きな鴉が横切る。バサバサという翼の音がやけに大きく頭の中に響き渡った瞬間、突き刺さるように頭が痛くなった。予知だ。瞬時に見えたビジョンはベッドに横たわる拘束されたルナの姿だ。右腕は千切れ、顔の上半分は取り外されて部品や配線が剥き出しにされている。

 たぶん、大きな声を出したのだろう。クラスの連中が一斉に僕のほうを見た。
「どうした、斉木。怖い夢でも見たのか?」
 一斉に湧き上がる笑い声、そして僕を嘲笑する心の声。そんなものはどうでもいい。
「なに? 気分が悪いのか。しかたないな、保健室に行って来い」
 教師は何事もなかったように授業に戻る。
 
 廊下に出ると階段を下り、裏門から外へ出た。予知はそれがどのくらい先の光景なのかが判らない。三分先かも知れないし、夕方かもしれない。

 千里眼で今、彼女がどのような状態なのかを探った。家電メーカーの研究所の場所は知っていた。公園からそう遠くない場所にあり、かなり広い敷地にいくつかの建物が点在している。彼女がどの建物のどの場所にいるのかは判らない。とりあえず、研究所の敷地内に標準をあわせる。表門に近い大きな建物はとりあえず違うだろう。木々に囲まれてひっそりと建っている無機質な建物に近付いてみると、玄関には警備員が立っている。
 窓の少ない、他人を拒否するような灰色の外壁。ここだ、と直感的に思った。建物の内部を探る。三階から下へ向かい、地下二階まで来た時、彼女を見つけた。ルナはやはりベッドに拘束されていて、二人の白衣を着た男が見えた。
 
 僕はどうするつもりだ。彼女は試作ロボットだし、いつかはこうなると判っていたのだから、放っておけばいいじゃないか。
 でも、もし放置したら、あの光景は一生、僕の心の中に居座り続ける。助けに行かなかったという後悔と共に。
 
「まったくどういうことだ、いきなり暴れだすなんて」
「ああ、まったくだよ。萩野の奴、突き飛ばされて大怪我だってさ」
 テレポートした先は研究所の地下二階。白く冷たい床に置かれたベッドの脇に立つ二人の男は僕の出現にまったく気付いていない。
「でも、記憶を消しちゃうなんてちょっと可哀想だよな。いつもやってることだけどさ」
「なに言ってんだ。たかが試作ロボットじゃないか。ほら、さっさとチップを取り出せよ……あれ? 君、いつの間に入ってきた?」 
 ようやく一人が僕に気付いた。
 でももう遅い。
 サイコキネシスで瞬時に男達を吹っ飛ばして壁に叩きつける。これでも加減してるから死ぬことはない。安心しろ。監視カメラもすでに使用不能にしてある。
 ベッドの脇に立つと、彼女は僕を見て力なく微笑んだ。額から上は皮膚部分が外されて部品が露出しているが、それでも彼女は美しかった。

「ああ、来てくれたんですね、斉木くん」
 ベッドの上に手をかざして、拘束していた金具を外したが彼女は動かない。
「ありがとう。でももうエネルギーが残り少なくて」
 いったい何が。
「今日、私が夜中に外に出ていることがバレたんです。それで、私の記憶チップを取り出してリセットすることになって、でも、それだけは……絶対嫌だから」
 だから、研究員を?
「ええ。もう悲しくて、悔しくて、どうしようもなくて」
 彼女は僕の顔をじっと見つめた。その瞳から涙が一筋、頬を伝っていく。
「斉木くん、私はもう駄目です。例えここを抜け出してもいつかは見つかってしまうでしょう。だから、最後のお願いを聞いてもらえませんか?」
 それが僕に出来ることなら。
「私の記憶チップを取り出して破壊してください。このまま大切な思い出がリセットされるくらいなら、記憶を持ったまま消えたいんです。だから」


 僕に君を殺せと?


「ごめんなさい……本当に」


 ……で、記憶チップって


「正面に見える銀色の部品です」


 僕はゆっくりと手を伸ばし、チップに手を触れた。こくり、とルナが頷く。
 取り外した記憶チップを強く握り締める。パイロキネシス。
 瞬時に炎が上がりチップは燃え尽きた。その時、


『ありがとう、斉木くん。私はとても幸せでした』


 彼女の心の声が確かに聞こえた。



 それからのことはよく覚えていない。気が付くと自分の部屋のベッドの上に寝ていた。
 あの二人の研究員はマインド・コントロールして毛むくじゃらのモンスターが襲ってきたことにした。
 僕の右手の中にはチップの燃えかすがこびり付いていた。溢れ出した涙を止めることが出来ず、声を押し殺して泣き続けた。

 

「おい、斉木、この主人公の服、かっこいいと思わないか?」
 海藤が中二っぽいラノベの表紙を僕に見せた。
 ああ、まあ……。
「だろ? よし、これ買うか!」
 しかしそれ三巻て書いてあるけどいいのか?
 いそいそとレジに向かっていく海藤を見送って新刊ミステリの棚へ向かう。

 
 あの時、僕は正しい選択をしたのだろうか。彼女のチップを保管して、生かすことも出来たのではないか。
 でも、三年前の僕はそんなことを考えもしなかった。
 正しかったのか、間違っていたのか。その答えは永遠に判らない。

 
 支払いを済ませて、店を出ると海藤もついてきた。
 日が傾いて、赤く染まった雲がゆっくりと空を流れて行く。
 なにげなく過ぎ去っていく日々。
 何やら僕の周辺はあの頃に比べて騒がしくなったけれど、今の状況は嫌いじゃない。

 
 僕は蘇った記憶を再び心の奥底にしまいこみ、そっと鍵をかけた。

 
 その時、前から二歳くらいの女の子が走ってきて僕にぶつかった。
「お兄ちゃん、ごめんなさい」
 その子は僕の顔をじっと見てちょっと首を傾げ、にこりと笑った。
「えっとお、あの……ありがと!」
 いや、お礼を言われる筋はないんだが。しかし。
 茶色いふわふわした髪、大きな目。

「待ちなさい、ルナ! 一人で先に行っちゃ駄目じゃないの」
 親が慌てて追いかけてきて、その子は手を引かれて去っていった。


 ……いや、まさか……な。


<END>
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Secret
(非公開コメント受付中)

まあぷるさん、こんばんはー。
明日はたぶんご挨拶回りは出来ないと思うので、今のうちにと思いやってきました♪

今年は大変お世話になりました~。
来年もアホな私に懲りずにお付き合いよろしくお願いしますっ。
よいお年をー!


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